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■天狗治(3世天狗久)■
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本名吉岡治。明治44年(1911)12月天狗要の2男に生まれ、少年時代から初代天狗久のもとで修行し、天狗久の技法を剰すことなく受け継いだ人と言われている。
生涯に彫った人形は100個を越え、女形の頭では初代以上であった。しかし「これが私の木偶だよ」といったのは、死亡する5年前に作った、加藤正清の頭だけであった。いつも祖父の作品と比較し、自分に満足することなく、貧乏に耐えながら1個1個彫り続け、優秀な作品を残した。昭和53(1978)年10月66歳で死亡。
治の母しげりは、古い頭の鑑定から塗り、衣装の着付や髷付まで、他に比べる人はいないと言われる程、高い技術の持ち主であった。 |
(徳島県郷土文化会館民俗文化財編集委員会『民俗文化財集第13集 阿波の木偶』平成4年3月31日発行
p.205) |
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